『嫌いじゃない―後日談―』



◇おまけ◇『嫌いじゃない』 その後のお昼のはなし。



冷蔵庫をあけて昼飯を何にしようか考えていたチハヤは、冷蔵庫の棚に潜む、まだ飲んで
いないオレンジジュースをみてふと思った。

そういえばヒカリって本当に毎日くるよね…。

「もしかして―――」

僕に気があるんじゃないの?

知らずニヤケるチハヤの顔。

その可能性は大きいな。
どうでもいい相手に毎日会いにくるなんてしないだろうし。大体みんなにあぁやって物を
貢いだりなんてしてないだろう。
それに、なんせぼくの顔ってそんなに悪くないっていうより、むしろいい部類だし?

チハヤは機嫌よく食材を選び出し、調理台に立つ。

まぁぼくに気があるっていうんなら、それなりの態度をとってやらなくもないな。

かなり上から目線な考え方をしながらサクサク野菜をきり、パスタを茹で上げる。

ヒカリは顔はまぁまぁだけど、それなりに笑った顔とか可愛いし。スタイルも、まぁよし

それに、ぼくに何を言われてもめげないところが面白い。

今日の夜、もしアルモニカにやってきたらなにか奢ってあげようかな。

「ちょっとくらい、優しいことしてあげるさ。」

まだチハヤは気付いていない。
それは自分が彼女にかなりの好意を抱いての、好きになってもらいたいという欲望の現れ
であることを。



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